2009-11-23第0回。
第0回「なう」の人。
おいらの古くからの知り合いで、この企画に最初からぴったりハマるだろうな、という候補者は2人いて、その一人が彼、@dobutas。
おいらは自分でもよく喋る方だと思っているけど(そして年中喉をぶっ壊している)、@dobutasから出てくる言葉はまさにマシンガン並み。アイデアマンで行動力も尋常ではない。当然、すでについったーでもフォロワーを約2000人獲得している。おいらは彼を「存在自体がコンテンツの人」だと思っている。
そして、彼のフォロワーの人なら知っているとおり、彼は今のついったーのムーブメントである、あるバズワードの事実上の原作者でもある。やっぱり一度、その話はまとめないといけないよね。というわけで、@dobutasと東京・下北沢のスープカレー店「マジックスパイス」でお話してきた。
参考までに、2人が頼んだメニューは以下の通り。
- ●@dobutas – ポーク角煮(極楽)withかき揚げ&チーズ、バナラッシー
- ●@kai_kuchiki – ポーク角煮(涅槃)with舞茸&ウィンナー、チャイ(ホット)
「なう」という言葉の、2つの軸。
ついったったーならみんなが知っているであろう「~なう」という言葉。説明は必要ない…と思うが、念のためニコニコ大百科あたりから引用しておく。
なうとは、居場所報告である。
概要
主にTwitterで使われるスラング。居場所などを伝えるときに「〜なう」とPostする。一番多く見られるのは「リナカフェなう」であろう。居場所でなくても、自分の状態を伝えれば何でもいい。最近では、ドロリッチを飲んで「ドロリッチなう」とPostするのが流行っていたり流行ってなかったり。
変態Postでふぁぼを集めたり、動画貼りまくったり、リブログしたURL貼りまくったりするより、一番まともなTwitterの使い方だったりする。
そのうち、棺桶なうとか言い出すついったったーがでるのかもしれない。
なうとは - ニコニコ大百科
さて、近年のバズワードだと思われているこのフレーズだが、実はそんなに新しいものではない。1998年頃のWeb日記界隈ではすでに使われていた。そして、おいらの知る限り、そのオリジネーターであるのは@dobutasだ。一応Web Archiveなどでも探してみて、客観的に見てもほぼ間違いないだろうと思われる(他の情報をお持ちの方、至急うみちゃんまで!)。
…ふぅ、どうも前置きが長くていけない。その「なう」に関して、@dobutasに話を聞いたのだった。まず、世界に「なう」が発信されるまでの経過。
@dobutas「まず、1995年くらいにWebサイトを始めて。Yahoo! の人気コンテンツとかにもなって(笑)。当時はHTMLの直打ちで。その後、大手のWebサイト構築とかもやったんだけど、一回飽きたと(笑)」
1995年といえば、ホントにWeb黎明期。Windows 95日本語版が出たのは11月のこと。それまでたいていの日本人はWindows 3.1とNetscapeを使い、アナログモデムでWebサーフィンしていたのだ。Trumpet Winsockなんて言葉、覚えてる人いますかね。…また脱線してしまった。@dobutasの話に戻ろう。
@dobutas「で、今さらWeb日記かな、と思って始めたのが1998年2月。お友達のサーバーを借りて、メールで投稿して更新できるようにした。家や会社から簡単に更新できるようにしたと。その後、ケータイの世界ではiモードが現れた。これを使えば日記を更新できるな、と。」
はい、また説明しますよ。今ではすっかりおなじみ、NTTドコモのiモードサービスが登場したのは1999年の2月のこと。おいらもN501iという折りたたみ端末を入手したりしました。
@dobutas「まあ、その前にもインターネットにメールを送れるキャリアはあったんですが。東京デジタルホンとか(J-PHONE、現ソフトバンクモバイル)。で、ほぼ同じ頃にDDIポケットが、端末のイヤホン端子に刺すカメラアダプタという、とんでもないものを出したんですね」
J-PHONEが写メールを始める前にも、ケータイで画像を送ろうという試みはあったのです。その一つが、DDIポケット(現ウィルコム)のTreva。詳細は本論と関係ないのでリンク先を見てもらうとして、@dobutasの言いたいのは、こいつをPHSに刺すだけで、写真付きメールを送れるようになった、ということ。これを使って、画像付き日記(画日記)を更新できるようなシステムを開発したのが@dobutasだったと。ここからそろそろ重要なところ。
@dobutas「実は『なう』と画日記と、2つの軸があるわけ。モビリティの観点からいうと、iモード端末でどこからでもEメールが送れるようになった。当時は日本全国をうろうろする『うろうろっ子』だったので、いろんなところにいったことの証拠を出して盛り上げたいと」
@kai_kuchiki「そこで写真をその場でWebに掲載して…」
@dobutas「そうね。移動先で電車の写真を撮ってみんなに伝えたかった(笑)」
だんだん見えてきただろうか。今当たり前についったー上で行われていることは、@dobutasがこんな時期に通ってきた道だった! そして。
@dobutas「記録をあさって見ると、2002年にボクのWeb日記に『はかたなう!』という言葉があって、これが現存する最古の記録であると。新幹線の写真とセットでね(笑)」
ようやくたどり着いた。これが「なう」のオリジンである。しかし、話はここでは終わらない。
リアルタイムであると言うこと。
IRC。これはさすがに解説が必要だろう。詳細はリンク先を見てもらうとして、簡単に説明するとインターネットで古くから実装されているチャットのシステムである。今でも動いていて、多くのユーザーがいる。そこらにあるWebのチャットシステムと大きく違うのは、専用のクライアントソフトがいること。まあ、最近はWebブラウザが超賢くなったので何とかなってしまうのだけど。もう一つ、IRCの特徴として覚えておいて欲しいのは「つないでいるときしか参加できない」ということ。説明が何とも難しいが、電話に近い…というべきだろうか。つないでいる間は会話に参加できる。つないでいれば、ログを読み返すこともできる。しかし、接続していない間の会話には参加はできない。そんな刹那的で、リアルタイムなコミュニケーション媒体が、IRCである。
@dobutas「IRCにいる人に、随時ボクがどこにいるのか教えたい。当時、ようやくPHSで移動体接続的なことができるようなっていたわけです」
PHSで移動体接続なんていうと、モバイル好きはウィルコムのAIR-EDGEを思い出すとだろうが、この話はまだその時代のことではない。当時全盛だったのは、PIAFS方式(というモノがあったのだ)による時間従量料金接続。それでも、移動体通信としては破格の安さだった。さらに。
@kai_kuchiki「従来はモバイルといっても、移動先に静止した状態でPCなどを展開してから『やるぞー』って感じだったものが、PHSで革新が起きたと」
@dobutas「つなぎながら移動するというね。電車の中ですらできるという。そこで『東海道線なう』という名言が飛び出したわけです」
文脈は違うが、これも「なう」。しかも「have been 〜ed」的な意味での「なう」ではなく、「〜ing」的な意味での「なう」である。言い換えれば、ブログ的、あるいはWeb日記的な意味での「なう」と、チャット的な意味での「なう」があったということだ。
@kai_kuchiki「そして、今現在に至ると、この2つが融合した意味での『なう』がついったー上に存在すると」
@dobutas「チャット的にも使えるし、写真、音声、動画も気軽に貼れるシームレスな場ですね」
時代が「なう」に追いついた。
@dobutasが過去Web日記やIRCでやっていたことは、今ついったー上で行われていることと、あまり大きな差はない。彼自身も、それは認めるところだ。もちろん、先行したアイデアと実装は大いに評価すべきモノであるが、使っていたのは、@dobutasを含めた一握りの先行者たちだけだった。
@dobutas「その当時、ブログに写真を貼るという行為は自分でプログラムをかける人だけだったと」
そう、当時MIME解析やBASE64展開のライブラリこそあったが、それらを組み合わせたサンプルというのは乏しかった。何を言っているのか分からない人は「メールから添付画像を取り出す仕組みを作るのは結構面倒くさい」ということだけ分かってくれればOK。
@dobutas「一方で『なう』した結果を見ることは誰でも出来たと。これは面白いと。なので、ハードルは高くても追従する人が出た」
お恥ずかしい話だが、おいらもその当時のフォロワーの一人だ。
@dobutas「旅の記録としてもリアルタイム性というのは新しいし、その場での出会いもあったと」
@kai_kuchiki「今と全く一緒でしたよね。『はらへたん』『下北なう』とか」
@dobutas「近所にいるのか、じゃあ晩飯食いますか、みたいな。まあ誰かいるよ的な」
最近だと、Perfumeファンのアメリカ人が、渋谷で「飯を食べたい」とつぶやいたのを、@dobutasを中心としたPerfumeクラスタのついったったーが支援し、即席お好み焼きオフにまで成立したのが記憶に新しい。
@dobutas「ただ、あんなことは昔からやっていた(笑)」
いや、実際その通り。IRCとWeb日記というインフラで、おいらたちは似たようなことをずっとやっていたのだ。もちろん、今もやってますけども。
@kai_kuchiki「ただ、あれのエポックメイキングな点は、人を巻き込みすぎという点で(笑)」
@dobutas「あの顛末はボクがブログでイラストにまとめたわけですけども(笑)。まあ、それだけついったーの母集団がデカいと。いろんな人がいる。多様性ですね」
多様性。たぶん、ついったーを人の面から切る上では非常に重要なキーワードなのかな、と。またいつか、この話を誰かとすることになりそうだ。
@dobutas「技術面の進化と、ユーザー層の広がり。このシナジーで、今まで限られた人だけの『なう』が、みんなの『なう』になったわけです」
さまざまなインフラが、時代が、ようやく彼のアイデアに追いついたのだ。
今回はここまで。
実はこの後も@dobutasとはいろんな話をしたのだが、記事としてかなり大きくなってしまったので、今回はここまで。しばらくしたらお蔵出し的に、この回の話を記事にするんじゃないかな、と思うところであります。
ちなみに、おいらたちはマジスパでスープカレーを食した後、下北沢のヴィレッジ・バンガードを物色し、新宿へ河岸を変えてデジタルビデオカメラなどを物色。その後、お茶をしているとTLで@semimaruPが「待ち人出会えず」などとつぶやくので、急遽強訴に行こうという、今回の会話を素でなぞるような出たとこ勝負な展開になったりしたわけで。まあ、@semimaruPとはすれ違いだったわけですが。
最後に、@dobutasと楽器屋に行って、いつものように波動られてAKAIのラップトップ鍵盤、LPK25を購入して、今回の取材はだいたい終わったのでした。ていうかホントにいつも通りだな(苦笑)。とりあえずGarageBandで遊んでみるよ!
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次回予告
次回はホントに第1回。人はだいたい決まってるけど、まだアポ取り中みたいな感じで。今まで全くあったことない人に会いに行く予定! こうご期待!